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2025/11/23 12:33



夜のブーゲンビリア


沖縄科学技術大学院大学(OIST)にて、恩納村の工芸家4名による展示会を開催いたします。

何を作ろうかと散歩しながら考えていると、足元の可愛らしい野草や可憐な花々に目を奪われたり、今の時期にしか咲かない花も気になったり……。あれこれ眺めながらも決めきれず、気づけば1か月が過ぎていました。

陽が落ちるのも早くなり、秋の始まりを感じる夕暮れどき。車窓から紫色に染まる空を眺めていると、ふと白い綿毛のようなものが風に揺れているのが見えました。近づく夜の紫と青のあいだで、ふわりと浮かび上がる白い影──それは白く咲くブーゲンビリアでした。

ブーゲンビリアは葉が花びらのように色づき、その奥でおしべの位置に小さな花が「ポンっ!」と咲きます。夜の色に溶けるように咲く白いブーゲンビリアの姿が忘れられず、しばらく見つめ続けていました。




翌日、ブーゲンビリアを数枝いただき、あの夜の幻想的な情景を表現してみたいと思いました。夜色の合間に揺れる白い花は、まるで垣根の奥で星を隠しているかのようでした。



まずはガラスの上にブーゲンビリアを乗せ、位置決めを行います。重ね焼きをしながら、夜のブーゲンビリアを再現していきます。




墨色に焼き付けたガラスの一番奥に咲く花を置き、その手前に葉や花を重ねて焼き付けていきます。夜の青を薄く塗り重ね、葉や花を焼き付けると、中央の茂ったブーゲンビリアはオパール色に輝き、肌に感じる夜の気配を表現してくれました。





完成した作品の額装は、古材で家具を制作する木工作家・Indigoさんが手がけてくださいました。時間を重ねた木材の温もりと質感が、作品の世界を深くしてくれています。すべて手作りの家具や雑貨が並ぶ、とても素敵なショップです。




(写真:Indigoさんのショップ内にて撮影)
サイズ:530mmx280mmx25mm(厚)


「夜のブーゲンビリア」は本来壁掛け作品ですが、今回の展示ではテーブルに置くため、特別な什器を作っていただきました。子どもを抱きかかえるように、両脇からガシッと支えてくれる古材の展示台。とても味わい深い仕上がりです。





【展示会情報】

「恩納村 手しごとのかたち」展
会期:12月2日~12月21日
※12月1日はプレオープン(入場無料)
場所:沖縄科学技術大学院大学(OIST)トンネルギャラリー横

皆様のお越しを心よりお待ちしております。

本日もお読みいただき、どうもありがとうございました。




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