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2025/04/27 14:10



静かに輝く葉脈 〜過去から今へと続く道〜

植物化石は、はるか昔の大地に息づいていた植物たちの痕跡。
しかし、動物や昆虫の化石に比べてその保存はとても難しく、完全な姿で残ることは稀です。
葉は柔らかく繊細なため、時間と共に砕け、風化していきます。
それでも、わずかに残されたその姿には、太古の記憶が静かに息づいています。


私はこの植物化石に心を寄せ、オオバキの葉をガラスに焼き付ける技法で、「今」と「過去」を繋ぐ作品作りに取り組んでいます。
完全な姿ではない、虫食いや擦れの跡も、そのまま美しさとして受け止めながら、自然が刻んだ時間を閉じ込めるようなものづくりを目指しています。


ガラスに焼き付けた葉は、葉脈一本一本までリアルに浮かび上がり、まるで手で触れて楽しめるかのような繊細さ。
さらに、銀を含んだ独自の技術で葉を焼き付けているため、光を受けるとほのかに輝き、見る角度によって表情を変えます。

私が植物に惹かれるのは、ただ美しいからではありません。
たった一枚の葉にも、太古から続く命の戦略が宿っているからです。
長い進化の中で、環境に適応し、絶滅を防ぐために形や性質を変え、生き延びてきた植物たち。
時には災害に耐え、時には人の手による伐採を乗り越え、なおも種を飛ばし、根を張り、虎視眈々と次の世代へと命を繋いでいくその姿に、私は深い感動を覚えます。


額縁の塗装にもこだわり、時間の流れを感じさせるアンティークな風合いに仕上げています。
制作途中の写真もご紹介していますので、ぜひご覧ください。
手に取るたび、遠い記憶と今ここにある生命の繋がりを感じていただけたら嬉しいです。

現在、作品は準備中ですが、販売については次回ご案内を予定しております。
まずは、太古の植物たちの物語に、そっと耳を澄ませてみてください。


本日もお越し頂き、どうもありがとうございました。



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