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2025/06/15 14:42

刻の葉 − TOKI NO HA −
福木やオオバキの葉を焼き付けた、時を飾るインテリアガラス
① Happiness Tree ― 福木の作品
開店祝いの贈り物としてご購入いただいた作品です。
「本物の植物をガラスに焼き付けた作品は珍しく、お祝いに贈りたくなる華やかな逸品ですね」とお客様から嬉しいお声をいただきました。
この作品に使われているのは、沖縄の防風林として親しまれている「フクギ(福木)」の葉。
台風の強風にも耐えられるほど丈夫な性質をもち、葉や茎、幹まで非常に頑丈で、集落を守る木として重宝されています。
「フクギ=福木=Happiness Tree(幸せの木)」と呼ばれることもあり、贈り物にふさわしい植物です。
本州でスギやマツが防風林として親しまれているように、フクギは沖縄・南西諸島、東南アジアで人々の暮らしと共に育ってきました。
ちなみに「福木巨木の巡礼誌」では、琉球王国時代から続く森林政策や、現在も残る巨木の福木を専門的に紹介しており、植物好きにはとても興味深い内容です。
*写真:フクギ並木(本部町)
② 植物と暮らしのつながり ― フクギの背景
沖縄でよく見かけるフクギは、実はマンゴスチンの仲間です。
小判型の厚みのある葉に、小さな花と黄色い実をつけます。食用にはなりませんが、フルーツしか食べないオオコウモリがこの実を好むようです。
また、フクギの樹皮は染織にも使われ、やさしい黄色に染まることから、ストールや小物づくりにも人気があります。
防風林としての役割だけでなく、色を楽しむ文化としても、私たちの生活に寄り添ってきた植物です。
*写真:焼成前のフクギ
さらに、フクギの化石があるのでは?と思い調べてみたところ、中国福建省でフクギ科(ガルシニア)の植物化石が発見されたという論文に出会いました。
*写真:「中国福建省中期中新世におけるガルシニア(オトギリソウ科)の新種と植物地理学的分析」より
太古の植物の姿から、今に至る進化の過程を想像するとワクワクします。
なぜこの機能は残されたのか。なぜ進化の途中で消えていったものがあるのか。地域によって新たに生まれた機能があるのではないか…。
そんなことを想像しながら作品づくりをしています。
今、私たちが見ている植物の姿も、進化の一部かもしれません。
200年後にはまったく違う姿になっているかもしれない。だからこそ、今の姿を美しく残すことは、未来への贈りものだと私は思っています。
③ オオバキの作品 ― 傷も、美しさも、未来へ
刻の葉 − TOKI NO HA − オオバキの葉を焼き付けた、インテリアガラス。
壁掛けとしても使えるよう、額の裏にはフックが付いています。黒い厚紙を外すと、透明なガラス面が現れ、2通りの背景で楽しめる仕様です。
オオバキは、公園や遊歩道などで見かける街路樹。
昔は葉を揉んで傷薬として用いたり、ミツバチの作る「プロポリス(健康食品として注目される成分)」の源ともなり、薬理的な効果についての研究も進んでいるそうです(Wikipediaより)。
私がオオバキの葉に惹かれたのは、その葉に刻まれた「時間」でした。
風雨にさらされて赤茶けた部分、虫に食べられて丸く開いた穴、端が少し欠けた跡……。
それでも枝に残り続ける葉に、私たち人間の姿が重なりました。
痛みも欠けた部分もすべて受け入れてなお、次の世代へと繋いでいく。
そんな力強さと美しさを感じたのです。
今回も、一枚として同じもののないオオバキの葉を丁寧に焼き付けました。
黒の背景で飾っても、透明なまま光を透かして飾っても美しい逸品です。
開店祝い、記念の贈り物として、ぜひ手に取っていただければ幸いです。
本日もお越し頂き、どうもありがとうございました。