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2025/03/30 15:19
第3回 透明な挑戦──植物とガラス、異素材融合の軌跡
お越し頂き、ありがとうございます。 只今、ガラスボールを試作中です。透明のガラスボールで調整中です。 へなちょこ感とぶきっちょ感溢れる仕上がり。良いんだも~ん、あちこち調整して、カッコよくなるまで、試し焼きを続けるもーん! 日本語がアレですが、心情的な声です・・。

ガラスボールの問題点
形がぼってりとしている
ボールの形が美しくない
琥珀色の植物と銀色の植物のバランスが良いかどうかの判断がつかない
良い点
植物がきれいに焼き付き、ボールの形になっても、ガラスの伸びに合わせて植物も伸びてくれた
琥珀色の植物がくっきりと焼き付いている
つまり、しばらく出来上がったボールを観察し、改善点を検討し、試作を繰り返す、という事が分かりました。
特許取得した釉薬を使い、ガラスに植物を焼きつけることができましたが、ガラス器やガラス雑貨として形にできるかが課題です。
そもそもガラスとは、珪砂、石灰、ソーダ灰の組み合わせでできています。相性が合う素材以外は、割れてしまう繊細な素材の一つです。

植物をガラスに焼き付ける挑戦
植物をそのままガラスに焼き付ける——普通なら不可能と考えられていました。
ガラスの成形には1000℃前後の高温が必要ですが、植物は100℃以下で燃えてしまいます。この温度差を克服することが最初の課題でした。
当時は情報も少なく、陶器、染織、漆などの伝統工芸を学び、鉄鋼溶接や金属加工まで手を広げました。陶器の釉薬、漆材、日本画材を試し、ガラスの原料自体も変えてみるなど、総当たりで挑戦を続けました。
なぜそこまでガラスにこだわったのか——それは、透明感と儚さ、そして時を超えて形を残せる力に魅了されたからです。風化する植物と、永続するガラス。対極の素材が融合すれば、新たな価値が生まれるのではないか。その可能性に取り憑かれていました。
当時はAIもなく、すべて手探りの試行錯誤でした。相反する素材の融合を信じ続けた先に、新たな技術と表現の扉が開かれたのです。



異素材の融合への気づき
その後、銀粘土とガラスを組み合わせたアクセサリー作品との出会いがありました。シーガラスと銀粘土を使った作品を見たとき、天然石ではなく海辺に打ち上げられたシーガラスとの意外な組み合わせに興味を引かれ、調べ始めました。
そして、ガラス+銀+粘土という異素材の組み合わせが焼成可能な作品を生み出すことに感動しました。他素材同士の融合が新たな表現を生み出す——その可能性の広がりを強く実感した瞬間でした。
それから、銀粘土とガラスと植物を組み合わせ、美しく焼き上げることに取りつかれて20年。試行錯誤を重ねた結果、特許を取得することができました。相反する素材同士の融合というテーマは、常に私の創作活動の中で中心的な要素でした。ガラスと植物は一見、正反対の存在に思えます。ガラスは硬く、冷たく、時間が経つと永続的にその形を保ちます。一方で植物は生命を持ち、風化し、季節ごとにその姿を変えます。その対極的な性質が互いに引き寄せられ、融合することで、新しい価値が生まれるのではないかと強く信じていました。
しかし、ガラスという素材に植物を焼き付けることは、決して簡単ではありませんでした。高温に耐えられる植物は存在せず、ガラスの融点と植物が燃える温度との差を克服しなければならなかったからです。いくつもの試行錯誤の中で、ふと閃きました。素材同士の相反する特性を理解し、それをどう調和させるかが、この課題を解決する鍵だと。
そして、このひらめきが私を新しい技術へと導きました。植物がガラスに焼き付けられる方法を見つけたとき、それはまさに素材同士の融合がもたらす可能性の証明でした。どんなに難解な課題でも、信念を持ち続け、異なる素材の力を結びつけることで、予想を超える美しさと独自性が生まれることを実感した瞬間でした。
私は次の世代へ繋ぐ為、この製法によるガラス作品の可能性と楽しさを広めたいと考えています。渡すバトンがより良いものになるよう努めたいと思います。
本日もお越し頂き、どうもありがとうございました。
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お手数をお掛け致しますがどうぞよろしくお願い致します。